ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン

ひまわり







――それからしばらく経って、社内で桃田さんの知名度はかなり上がった。


彰人と同じ企画部だということもあり、あの2人の目立ちようは凄まじい。



……そして、解消したかに思えた“不安要素”は、

さらに増幅して未だに残ってしまっているのだった。




「須崎さん! 鈴木課長達と一緒にランチ行きましょう!」


「えへへ、ありがとうございます」


「わぁ〜! 須崎さんってほんとに仕事早いですね!」


「須崎さん、今日の企画部飲み会についてなんですけど――」




というのが、私が今日だけで聞いた会話。


タイミングの問題かもしれないけど、最近は彰人を見掛けるともれなく桃田さんがそばにいて。


以前より社内で彰人と話すことが減った気がする。

いや、絶対減ってる。


だって桃田さんが近くにいると、彰人に声掛け辛いもの……。



向こうはきっと仕事の一環で一緒に行動してるわけだし、何も用がないのに話し掛けるのは気が引ける。


……そして同時に、募ってしまうこのモヤモヤ感……。




「はぁ……」




私は一人、休憩室で大きな溜息を漏らす。

手元の缶コーヒーに視線を落として、彰人と桃田さんの会話を思い出していた。




企画部の飲み会がどうとか言ってたけど、

彰人からも「今日企画部で飲み会行ってくるね」とメッセージが入っていた。


つまり今日は仕事終わりに彰人と会えないわけで。

彰人はあの可愛い新入社員がいる飲み会に行ってしまうってことだよね……。



もちろん飲み会は行った方が良い。

だってチームの親睦を深められるありがたい機会だろうし。



……でも、

どうしても私は気になってしまう。



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