ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
「須崎さん……私、酔っちゃったみたいです……」
なーんて顔を赤く染めて彰人に身を寄せてさ、
「大丈夫? もう飲まない方がいいんじゃない?」
「はい……。私今日帰れるかなぁ……」
「タクシー呼んであげるよ」
「もったいないです!
あの、私の家ここから近いので……送って頂けませんか?」
「いや、ごめんそれはできない。俺彼女いるし、別の人に頼んでよ」
「…大丈夫ですよ。言わなきゃバレませんから♡」
……ってことになったり……。
…あぁ、ほんと無理。
自分が辛いだけなのにこんな悪い妄想ばっかりしてしまう。
でも、気が付いたらこんなことばっかり考えちゃう。
彰人に対しては絶対的な信頼を寄せているけど、向こうは分からない。
是が非でも彰人を奪うつもりなら、どんなことだってやるかも……。
彰人はお酒に潰れないけどちゃんと酔っちゃうからなぁ。
酔った彰人もめちゃくちゃ魅力的なんだよね。
そんなの見たら、余計桃田さんに火をつけちゃうかも。
…………って、
いやいやそれ以前に!
桃田さんが彰人を狙ってるなんて、それこそ私の勝手な妄想だし!
もしかしたら桃田さんは純粋に上司として彰人を慕ってるだけで、恋心なんて微塵も無いかもじゃん!
あーもう! ほんと自分って最低!
グイッと缶コーヒーを飲み干して、私はゴミ箱に缶を勢い良く捨てた。
すると休憩室の扉がガチャリと開く音がして、「あ!」と弾むような声が聞こえてくる。