ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン



「唯がいる〜!」



顔を向けると、嬉しそうな笑顔でヒラヒラと手を振る彰人がそこにいた。


……そして、少し後ろには当然のように桃田さんがいる。




「…彰人」


「お疲れ様。休憩被るの久々だね」


「そうだね」




チラリと桃田さんに目を向けると、彼女はじーっと私を見つめていて。

目が合うと、ペコリと頭を軽く下げた。



……いかんいかん、桃田さんはなんにも悪いことしてないんだから。

先輩である私が態度悪くしちゃダメだよね。




「…桃田さんもお疲れ様」


「あ、お疲れ様です」


「唯何か飲む?」


「……え、あ、ごめん。私さっき飲み終わったの」


「あらら。じゃ、もう一杯飲む?」


「いや大丈夫、お腹タプタプになるよ。でもありがとう」




私がそう笑うと、彰人も綺麗な顔をニッコリと緩めてくれた。


……あぁ、なんて癒される笑顔なんだ。



すると、桃田さんがなんだかそわそわした様子で一歩彰人に近寄って、

ちょいちょいとスーツの裾を引っ張った。




「須崎さん、彼女さんに今日のこと言いました?」


「…え、今日のこと? …………あぁ! 飲み会か!
もう言ってるよ〜」




ね、唯。と彰人は私を見る。

私がこくりと頷くと、桃田さんは「そうでしたか」とニッコリ笑った。



……?

今のは普通に、彼女である私に気を遣ってくれたってだけだよね?


でも、なんだろうこの違和感。



するとそこで休憩室内に携帯の着信音が鳴り響き出した。



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