ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
夜の街
*
「えぇー! 桃田ちゃん彼氏いないの!?」
「まじか……。え、最後に付き合ってたのいつ?」
居酒屋で盛り上がる企画部一行。
私はしっかり須崎さんの隣をキープしてるけど、飲み会だからあんまり2人では話せていない。
飲み会が始まってからほとんど私の話題ばっかりで、私が抜ける訳にはいかないし。
まあ今夜は絶対、ホテルか私の家に連れ込んでみせるけど。
「最後は……1年前ですね」
「えっ、そんな前なの!? 桃田ちゃんならすぐ男が寄って行きそうだけど」
「あはは、まぁそうでしたけど…。でも、私が好きになれる人が現れなかったんですよね」
「おお! で、ちなみに桃田ちゃんの好きなタイプってどんなの?」
キタ。
私はほんの一瞬、隣の須崎さんを見てから「えーと…」と、斜め上を見上げる。
「かっこよくて、清潔感があって、大人っぽくて、経済力があって、紳士的な人です」
「あはは! 理想高いねぇ〜!」
「私と釣り合う人だったら、やっぱりそのくらい求めちゃいますね」
「いいねぇ〜。桃田ちゃんのそういうハッキリしたところ良いと思う!」
「確かに桃田ちゃんレベルに釣り合う人ってそうそういないし」
「あれ、ていうか……桃田ちゃんの好きなタイプ、須崎モロに当てはまってね?」
社員さんの発言に、全員の視線が須崎さんに集まる。
須崎さんは枝豆を口に運びながら「ん?」と呑気に声を出している。