ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
「俺ですか? まぁかっこいいのは同感ですけど」
「…俺は須崎のそういうところも好きだぜ」
「つーか見れば見るほど須崎さんと桃田ちゃんの並びやばいっスね。似合い過ぎて輝いてらぁ」
「あはは……なんか照れちゃいますね」
頬を少し赤らめてチラリと須崎さんを見上げてみる。
須崎さんは私と目を合わせると「そうかな」と首を傾げてビールのジョッキを傾けた。
……さっきから須崎さんはずっとこんな感じ。
こんな腕が常に当たっちゃうような距離でこの上目遣いをしても、表情一つ崩さない。
もっと動揺してくれると思ったのに…。
やっぱり手強い。
でもそんなところも好き!
彼氏として完璧だわ。
「須崎と桃田ちゃんが付き合ったらまじで最強カップル誕生だな」
「あ、ちょっと課長〜、そんなこと言わないで下さいよ。俺ちゃんと彼女いるんですから」
「あーそうだったな、すまんすまん」
ガハハと大口を開けて笑う課長と「も〜」と口を尖らせる須崎さんを、私は笑顔で見つめる。
「彼女って事務の子だっけ? えーと加屋さん!」
「はい、加屋唯ちゃんです。超〜可愛い子」
「あははは! 溺愛してんなぁ。確かに加屋さん可愛いけどさ」
「加屋さんと付き合ってどんくらいスか?」
「もう1年くらいだね〜」
……まずい、話題がそっちに行くとさっきの“須崎桃田カップル”のイメージが薄れちゃう。
なんとかしなきゃ。