ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
「見て! 須崎さん来てる!」
「何ぃ〜もう、ほんとかっこいいね…」
近くで話す女性社員達の声を聞きながら、私はカタカタ打っていたキーボードの手を一瞬止める。
チラリと話題の方へ目をやると、スラッと背の高い男性社員がリーダーと話しているのが見えた。
……ほんとに、今日もかっこいい。
注目される中、彼は用件を済ませたようで、リーダーにペコリと頭を下げている。
そして帰り際にチラッとこちらに顔を向けて。
私と目が合うとニッコリ爽やかに笑ってみせたのだ。
「え…こっち見て笑った!?」
「違うって。ほら、彼女でしょ」
そう言うと、女性社員達はこちらに顔を向けてくる。
私はなんとなく気まずくなりながらも、いつものように笑い返した。
……彼女達の言う通り、
あの背が高くてイケメンな男性社員は
正真正銘私の彼氏。
須崎 彰人さん。
部署は違うけど、こうやって打合せとか書類を届けにとかでたまにうちの部に来る。
その度に注目を集めるのがすごいところ。
完璧過ぎて、もはや芸能人のような存在にまでなっている。