ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
――それから会は一旦お開きになり、課長の誘いで私と須崎さんと3人でバーに行くことになった。
カウンター席で飲み始めたところ、なんとタイミング良く課長の奥様から電話が入って。
急遽課長は私達を残して先に帰ることになったのだ。
「ごめんな! お金足りなかったら今度渡すから言ってくれ!」
「いやいや十分ですよ、ありがとうございます。お疲れ様です課長」
「ご馳走様です! お疲れ様です!」
お金を置いて店を後にする課長を見送って、やっと2人きりになれた私と須崎さん。
須崎さん自身もかなり酔ってるはずだし、このままいけば絶対ホテルには行ける。
「…で、どうしよっか。課長帰ったし俺らもこれ飲んだら帰る?」
「そうですね…」
柔らかく微笑んで、うっとりとした視線を須崎さんに向ける。
その視線に気付いた須崎さんは、「ん?」と首を傾げた。
「…大丈夫?」
「なんか……一気に酔いがきたみたいです」
「あらら。家はどのへん? 一人で帰れる?」
「〇✕駅の近くです…。だいじょうぶですよ〜」
「……いや、やっぱり心配だからタクシーで帰りな。タクシー代は俺出すから」
「えっ、ダメですよそんなの、もったいないです…。私一人で帰れますからっ」
「ダメダメ。上司として部下の身の安全は守らないと」
「……じゃあ…」
私はするりと須崎さんの腕を触って、熱い視線を真っ直ぐ向けた。
「家まで送ってください…」