ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
理想の人
*
「(……飲み過ぎた)」
店の外に出て、身体のだるさに気付いた私は1人で大きな溜息を漏らす。
今頃彰人は会社の人達と盛り上がってるのかなぁ。
さすがに2軒目とか行ってるか。
……桃田さんは彰人の隣をキープしたりしてそう。
そんでさり気ないボディータッチとかしてさ。
彰人もほんの少しくらいキュンってしちゃったり……。
ああ、考えたくなくても考えてしまう。
そんな状態だったから、私は少しでも気を紛らわせる為に1人で街に出掛け、飲みまくっていたという。
なんか惨めだな…。
彼女なのに……なんでこんな自信無いんだろ。
「(帰ろ…)」
私はトボトボとゆっくり歩きながら駅まで向かい始めた。
――ふと、
前方に見えたスーツ姿の男性が目に止まる。
わ、彰人かと思った…。
あの背丈でスーツ着てたらいつも彰人かと思っちゃう。
……ん?
いや待って。
あれ……やっぱり彰人じゃない?
あ、絶対彰人だ。
てことはその隣にいる小柄な女性は……。
「私良い所知ってますよ!」
2人とも後ろ姿だけど、その可愛い声が聞こえて確信する。
彰人と……桃田さん。