ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
「あの……須崎さん?」
「やっぱり桃田さんはタクシーに乗って帰りな」
「えぇっ!? うそ……ていうかいつの間に呼んでたんですか」
「言うと嫌がるだろうからこっそり呼んどいた。わざわざ来てもらってるし、これで乗らないわけにはいかなくなったでしょ」
彰人のニコッと笑った横顔が見える。
そんな彰人を見上げながら、桃田さんは悔しそうに眉間にシワを寄せて。
はたと、遂に私の存在に気付いてしまった。
「……え゙、加屋さん…?」
「えっ」
桃田さんの呟いた言葉に、彰人はバッと素早くこちらを振り向いた。
う……なんか気まずい。
「唯!? なんで!?」
「…あはは…」
「あ!! もしかして1人で飲んでた!? またそんなことしてー!」
一瞬で私のそばまで近寄った彰人は、火照った私の頬を押さえてうりうりと撫で回し始める。
まだ桃田さんいるんだけど!?
後輩にこんなの見られたら死ぬほど恥ずかしいって。
「だ、だって彰人も飲み会行ってたから……」
「うっ、それはそうだけど…。でも1人で飲んでててナンパされちゃったら……俺嫌なんだけどっ」
「……ごめん」
「〜〜可愛いから許す!」
今度はぎゅーっと私を抱き締める彰人。
ほんっと人の目を気にしないんだから…。
私の顔はもう既に恥ずかしさで真っ赤っかだよ。