ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
「だから何も言わなかったし、突き放すこともしなかった。やっぱり部下だし、桃田さんを傷付けちゃダメだって思ってたからね」
「……須崎さ、」
「でも桃田さんが唯を傷付けるような発言するんだったら、俺も容赦しない」
そう言った彰人は
綺麗な顔でニコッと笑った。
「どんなに俺を誘惑しようが、俺は一切桃田さんにそそられないし、今日されたこともぜーんぶ無反応だったよ。
俺は唯にしかそそられないし、唯が世界一可愛くて世界一興奮する子だから」
「……なっ…」
「ごめんね、ご期待に添えなくて。
俺って変態なの」
そう言い切った彰人は満足気に笑うと、桃田さんの背中を押しながらタクシーのドアをおもむろに開く。
そして呆然としている桃田さんをそのままタクシーに乗せてしまう。
「すみません運転手さん。〇✕駅までお願いします」
「…はっ、ちょっと須崎さん! まだ、」
「駅から家までの道案内は自分でしてね。それじゃーまた月曜日」
バイバーイと手を振りながらドアを閉めて、あっという間にタクシーは走り出して行った。
あまりにも展開が早くて、ただただ突っ立って一連の流れを眺めていた私。
彰人はそんな私を見て「ごめんね唯」と優しい笑顔で謝ってくる。
「嫌な思いさせちゃったよね。でももう大丈夫だよ」
「……えっと、彰人は桃田さんの気持ちに気付いてたの?」
「そりゃあ気付いてたよ。入社した時からずっと」
え。
そうだったんだ…!?
さすが彰人……。