ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
――仕事が終わって、私は慣れた手つきで彰人の家の鍵を開ける。
『今日家おいでよ』
『俺ちょっと遅くなるけど、唯はゆっくりしてて』
彰人からそんなメッセージが入ってて、いつものことだけど少し嬉しくなる。
部屋は相変わらず綺麗に片付けられていて、ほんとにどこまでも完璧だなと改めて感動。
「(少し遅くなるって言ってたし、料理でも作って待ってようかな)」
そう思い立って、私はアプリでレシピを探し始める。
前もって言っておくと、私は料理が下手である。
非の打ち所が無い彼氏は当然のように料理も上手くて。
私なんかが作るより遥かに早いし美味しいんだけど…。
でも、やっぱり彼女としては何かしてあげたいと思うわけで。
完璧な彼氏にちょっとでも釣り合うように、私は努力を惜しみたくないのです。
――ガチャン。
すると、玄関の方から鍵を開ける音が聞こえてきた。
えっ、もう帰ってきた!?
「ただいまー」
彰人の声を聞きながら、私はパタパタと廊下に出て彼を出迎えに行く。