ハイスペ彼氏は彼女にゾッコン
可愛い子
――そんなある日。
「なぁ加屋、聞いた?」
隣のデスクの山口先輩がなんだかそわそわした様子で声を掛けてくる。
私はキーボードから手を離し、「何をですか?」と先輩へ顔を向けた。
「企画部に最近中途で入って来た子。めっっっちゃ可愛いんだよ!」
キラキラとした瞳でなぜか誇らしげにそんなことを言う山口先輩。
実は彰人も企画部だから、中途で新入社員が入ってくることは聞いていた。
へえ……可愛いんだ……。
確か20代で私より年下だったよね。
「上の階行った時に見たんだけど、もうま〜〜〜じで可愛かった。まさに人形みたい!」
「そんなにもですか……」
「なんかモデル? の経験もちょっとあるらしくて、完全にオーラが違うんだよ」
そんなに興奮しちゃうほど可愛いんだ。
よっぽどだな。
……企画部ってことは、彰人と同じ部署ってことで。
毎日同じ空間で仕事するってことだよね…。
……そんな可愛い子が…ずっと近くに……。
いや、彰人がその子を好きになっちゃうなんてことは全く思わないよ?
でも、なんとなくそんな若くて可愛い子が彼氏のそばにいるってだけで、彼女としてはちょっと気分が良くはないというか。
……あーダメダメ、考えないようにしなきゃ。