再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
無表情で無関心な顔したデュオの狭量なところを察して、セーラはまた胸がほくほくした。
人の色恋は見ているだけで幸せになれる。アラサーともなれば、周りの恋から栄養を補給することには長けてくるものだ。
真面目に純潔を守る二人のまっすぐな愛なら、なおさら尊い。
「召喚士が純潔じゃないといけないだなんて知らなかった」
「聖女様も同じですよ?」
「え?!そうなの?」
「知っているものだと思っていて、説明を怠りました。申し訳ありません」
「いや、私の方こそ聖女二度目とかややこしくてごめんね?」
泣き止んで瓶底眼鏡に戻ったビンビンは丁寧に説明した。聖女と召喚士は同じ聖なる神力を操る。そのために聖女は純潔が条件だ。
(アイビン?アイビンはそんなこと教えてくれなかったよ?)
セーラは心の中の亡きアイビンに聞いてみる。すると「聖女様に男の影がありませんでしたので説明する必要がありませんでした!」とキリッと返事が聞こえた気がした。大正解過ぎる。セーラはこの条件を知り、一つ思い当たってしまった。
「え、今の時点で経験ないのモロバレなの恥ずかしい!」
「純潔でなければ、そもそも召喚されませんよ、聖女様」
(アラサー処女は「喪女」なんて呼ばれる元の世界より、純潔に力与えてくれるこの世界、心広くて好き……!)
セーラが顔を赤らめると、ビンビンがクスクス笑った。安心して肩の力が抜けたビンビンにだけはデュオが優しく笑うのが印象的だった。
(ビンビンだけは特別なの、わっかりやすーい)