再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
冷静沈着と思っていた義父は、愛する聖女に情緒メッタ殴られているらしい。不憫である。
デュオが荒れ狂うマオを見るのに飽きて本を開き始めたところで、ぼそりと意見を述べた。
「抱けばいいじゃないですか。我慢せず。異世界に帰す気はないのですから、体から落とす手もあるでしょう?羨ましい選択肢の一つです」
「簡単に言ってくれるね。そんなのまるで意味ないよ。大事なのは結果なんだ。セーラは僕のこと大好きだけど、男として見慣れてないんだよ。今抱くなんて愚策だよ?!
それなりに好きになってもらうんじゃない。愛しくてたまらなくなってもらうためには、
待ちは重要な策略の一つなんだよ!!」
また豚ぬいぐるみが粉砕しては復元する。豚をメタメタに殴りながらよどみなく話し続ける義父に、デュオは感情のない声でボソリと返事をする。
「待つ策略を選んだのですよね。そう思っているなら、切り替えればいいじゃないですか」
「ムリぃいい!セーラ可愛い大好き今すぐ抱きたぁあい!!」
豚が粉砕しては復元するを10周りするまで、マオの癇癪は防音魔法に囲まれた執務室で続いた。