再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
セーラとアイビンが話し続ける間にも、ギャン泣きマオが金色猫毛を振り乱して花畑を踏み荒らしてローリングして、無自覚な魔法で破壊を繰り返している。
セーラが地面に膝をついてマオを呼ぶ。
「私の可愛いマオはどうしたのかなー?」
「いぎゃあああ!!」
「うんうん、イヤなんだね」
とにかくイヤイヤ言いながら喚き散らすマオをセーラが手を伸ばして抱っこする。
マオは癇癪持ちだが非常に賢い。
アイビンが無理に抱き上げようとすれば魔法で蹴とばしてしまうが、セーラが抱っこしにくれば従順に抱かれる。
ますますアイビンの眉が歪む。
(人の顔を見て、誰が一番優しいか心得てやがるのが笑えません)
「いやあああの!やああの!」
「何がイヤかなー?」
「かえるー!!」
セーラがマオを抱っこして背中を撫でると、マオの癇癪が収まり、ボコボコになった花畑破壊が静まる。
「やーの!おうちかえるー!!」
「そっか、お散歩がイヤなんだ」
「やーの!」
「わかったわかった」
「今出てきたばかりなんですがね」
「仕方ない、帰ろうか」