再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
そんなに狭いソファでしたかと聞きたくなるくらい密着して座ったマオは、こてんとセーラの肩に頭をもたげた。
徐々に距離を詰めるマオの策略にセーラは知らぬうちに乗せられている。徐々に徐々に詰められて、知らないうちの接近戦だ。
「久しぶりにこの絵本を僕に読んでくれる?セーラの声で聞きたいな」
マオが肩に頭を置くと、金色の細い髪がセーラの首筋をくすぐって甘い刺激を与える。素直に甘えるマオが可愛くて、そうやって甘えた顔するのが自分だけという限定感にも高揚してしまう。
むずむず落ち着かない気持ちを抑えて、セーラはマオに絵本を読み聞かせた。
『ノアの箱舟』は世界が大洪水に襲われると知った主人公のノアが、巨大な船を作って動物や人間を乗せ、大洪水から生き抜く話だ。
(生きて動いて意思のある人間を船に詰め込むのって、なかなか難しいと思うよ?
動かないなら、別だけどね)