再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
妙に押しの強いビンビンに面喰いつつ、口紅を丁寧に塗られたセーラは普段より艶やかな淡い色の唇が魅惑的に仕上がった。
フンと鼻息荒く、仕事してやったぜと額の汗を拭くビンビンに、セーラは首を傾げる。
「なんか肩に力が入り過ぎているような気がするけど?」
「私は聖女様ほど楽天的にはなれませんので、羨ましいです」
「召喚士ジョーク?」
「前から思っていましたが、聖女様はジョークのセンスがありません」
ビンビンは日に日に石人間の数が増えている現状にイラついていた。もう全滅のカウントダウンだというのに、国を救うはずの聖女様は毎日のほほんとお茶を飲んでいるだけだ。
『いい子で待ってるを実行中!』と聖女ジョークを飛ばすが、まるで笑えなかった。
もう何のために召喚したのかわからない。
「聖女様、楔をお忘れ無きようお願いします」