再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
心は3歳、
見た目は6歳、
頭脳はもしかしたらもう大人かもしれない。
マオはとても、アンバランスで危うい子だ。何か1つの間違いが、彼を崩壊させる危険性も孕んでいた。
「聖女様と共にあるマオは、無害な子どもに見えます。ですが、いつ悪へと転がってしまうのかと、懸念が消えません。信用していいものか」
眉をひそめたままのアイビンに向かって、セーラは黒い瞳を細くして笑う。慈しみ深い優しい笑みだ。
「アイビン知ってる?今日、雨を止ませる魔法を私に見せてくれるまで、マオは何回も練習していたの」
「そう、だったのですか?」
セーラのふふっと自慢げな笑い声に、アイビンはハッと目の前の雨雲が晴れるような感覚を味わった。
(私はマオの努力など見ずに、魔王だからと魔法が使いこなせると。決めつけてしまっていたのか)
聞く耳をもってくれるアイビンに感謝しつつ、セーラはアイビンに笑いかけた。
「マオが人間とは違う生物なのは事実よ。
でも、今ここにいるマオは私のために雨を止ませようと努力してくれるくらい優しくて可愛くて、いい子なの。
マオは厄災なんかじゃない」
陽だまりの中でセーラにすり寄って安らかに眠るマオは、穏やかだ。
「アイビン。不安な未来じゃなくて、今を見て?ほら、こんなに可愛い」