再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
ビンビンは目撃日記を手にしてゆっくりと後ろを振り返った。
背後では、デュオがいつもと変わらないビンビン専用の微笑で見つめていた。
「デュオ様、なぜ人間を裏切ったのですか?」
細く緊張したビンビンに、デュオの飄々とした揺るがない声が届く。否定はしない。
「君がどうしても欲しかった。君を石にしたくなかった。他の人間より、君を取った。それだけですよ」
デュオの淡々として悪びれない返事に、今まで恋したデュオが崩れ去る。真面目で紳士で優しい彼がどこかに消え失せた気がした。ビンビンが声を荒げる。
「どういう意味ですか!」
「僕を信じてください。決して悪いようにはしません」
どう聞いても悪役の苦し紛れな台詞にしか聞こえない。だが、まっすぐにビンビンを見つめるデュオの赤茶色の瞳は一切曇っていない。真面目で紳士で優しい彼の瞳だった。
彼は消え失せてなどいない。そこにいる。悪事を働いた徹底的な証拠があるというのに、どう信じればいいのか。