再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
パーティ会場の貴族たちは悲鳴を上げそうになる口を両手で塞いで、パートナーを抱き締め縋りついた。あるものはパーティ会場から逃げようとしたが、ひとりでにドアが固く閉まった。
「待って!待ってください皆さん!」
閉じ込められたと感じた貴族たちがパニックを起こす前に、セーラが大きな声を張り上げる。
ここにいる全ての人間の最高位、
それが聖女だ。
「マオの話を聞いてください!マオは確かにみんなを石にしてしまったんだけど!理由が」
「ご存知だったんですね、聖女様」
「あ」
セーラが口元を隠したがすでに遅かった。一言喋っただけで、ビンビンにあっという間に揚げ足取りされてしまった。
「どうして教えてくれなかったのですか?」
賢いビンビンと渡り合うのはセーラには分が悪かった。召喚士のド正論に、貴族たちの声が次々に火を噴くように上がった。
「まさか、聖女様までも裏切り者だったなんて」
「早く!!魔王も、聖女も、殺してしまって!」
「そうすれば石化も解けるんだろう?!」
「平和な世に戻るのよ!」
「そうよ、そうよ、そんな恐ろしいものたちは消してしまってちょうだい召喚士様!」