再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
マオは「魔王」であることが広く知られていながらも駆除されていない状態だ。魔王を育てるという、国王よりも権威を持った最高位聖女の命令だからだ。
マオはどこにいても、畏怖され奇異の目で見られることを避けられない。
人口の5%が魔法使いだが、魔法を使う血筋は決まっており、魔法学校に入学するのはほぼ貴族だ。
悪戯盛りの貴族の同級生たちは、飛び抜けた才能を持つマオをやっかみ、人間とは違うことにちょっかいをかけ始めた。
ズバリ、神をも恐れぬ愚行。
斬新なる「魔王イジメ」だ。
「マオ!今日は誰にやられたの?!」
アイビンと共に帰ったマオは泥まみれでも、輝かしい爽やかな笑顔で微笑んだ。
「まあ、いつも通りのオフザケで」
セーラは泥で自分のドレスが汚れることも意に介さず、すぐにマオを抱き締める。
「エル豚の豚野郎にやられたよ?」
「その口の悪さ外で出してきてもいいよ?!」
金色猫毛を揺らしたマオはセーラの腕の中から、顔を見上げて笑いかけた。
「少しでも怖い魔王だと思われるような、魔王っぽい行動はしないよ、セーラ」
「ちょっと!うちの子が魔王どころか神々し過ぎるんだけど!ね!アイビン!」
「はい……さすがにもう私もマオの味方です」