再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─

セーラが皆が注目する会場の真ん中に視線を移動する。すると、パーティ会場の真ん中では尻もちを付いたエルトン豚の上に、フォークとナイフが無数に宙に浮かんでいた。


(マオのキラキラ魔法!)


セーラの黒い瞳には一目でそれがマオの魔法だとわかった。マオがついにブチキレかまして、エルトン豚野郎に攻撃を仕掛けてしまった現場らしい。


セーラはドレス姿なのもいとわず、足をバタバタ動かしながら豚を切り刻む準備中のフォークとナイフに叫んだ。


「待って!待ってマオ!気持ちはわかるけど、そんなのぶつけちゃダメ!ディナーになっちゃう!」


フォークとナイフの雨が豚に降り注いだら、エルトン豚がパーティのメイン料理になってしまう。


パーティ参加者たちは遠巻きに見ていたが、誰もマオを止めようとしない。魔王マオの存在に大人でさえもビビっているからだ。


「お前が僕に何をしようが耐えられたよ。でも」


エルトン豚が尻もちついて怯えた顔で固まる前で、マオの金色の瞳が爛々と輝いて、瞳孔がかっぴらいていた。

ブチキレッキレである。


「セーラを貶したことだけは、絶対に許さない」

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