再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
マオは天を仰いで腕の中のセーラの軽さを噛みしめた。
「セーラって、こんなに軽かったんだね……初めて知った」
以前は子どもで、セーラを抱き上げるなんてしたことがなかった。マオは腕の中でキョトンとするセーラを金色の瞳で凝視する。
金色の瞳には膜が張って、涙が浮かんでた。
「マオ、泣いてるの?」
「この日までどんなに長かったか。セーラがここにいて嬉しいんだ。セーラがここにいるって確かめていたいから、大人しく抱かれてて」
聞き慣れない男性特有の低い声で、詰まるように懇願するマオに、セーラはそれ以上異論を唱えられなかった。
セーラにとってはたった1年で、マオは美貌が金色に輝く美男子に成長していた。
だけど、眉をハの字に下げてしょげた猫みたいな顔をして笑う仕草は小さなマオと同じで、身体だけ大きくなったように感じる。
(マオの下がり眉、変わらないな)