再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
セーラはこの島国に5年もいたのだ。文字の読み書きくらいはできる。
『栄光の召喚士 アイビンここに眠る』
誇らしく刻まれた墓石の前に、セーラはゆっくりと立たされた。
「本当に100年も経ったの……?」
「間違いなくね」
セーラが彩り豊かな花に囲まれて眠るアイビンの前に両膝をついて、座り込んだ。この世界で過ごした5年間、見守り続けてくれた彼女のおかげで走り抜けることができた。
一人だったら挫けたかもしれない魔王育てを側で支え続けてくれたのは彼女だった。
「アイビン。もう、会えないの?」
アイビンの墓の前で、セーラはさめざめと涙を零した。セーラの隣にマオが同じように膝をついて座り込み、肩を男の腕が優しく抱いた。
マオの腕だけど、強くて太い。知らない腕だ。
こんなに逞しいマオをセーラは知らない。でも、抱き寄せる力はとても優しかった。
マオは懐かしむ声で、アイビンのその後を語った。
「セーラがいなくなってから、消沈する僕をアイビンはひっぱたいて無理やり立たせたよ。
嘆き悲しむ間もなく次々に仕事を与えて、アイビンのおかげで……僕の今の地位があるんだ」