再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
『マオを一人にしないで』という願いをアイビンが果たしてくれたことに、セーラは深く感謝がこみ上げて全部涙になる。
「『人生で最も信頼を置いた者が魔王だなんて、笑えた人生だった』って。
アイビンが僕に遺した最後の言葉」
マオの口から語られたアイビンは、確かにアイビンそのものだ。本当に彼女が亡くなったことが身に染みて、100年の時の残酷さにセーラは泣けた。
(セーラは怖いくらいに軽くて、小さくて……こんなに、か弱かったんだね)
ぽろぽろ涙を零すセーラの頭がとても小さくて、マオは触れるのに緊張した。
(帰ってきてくれてありがとう、セーラ)
夢想し続けたセーラよりも、本物はずっとずっと愛おしい脆さを孕んでいた。
大きくなったマオから見ると、聖女セーラはか弱くて、可愛かった。セーラの細い肩を優しく抱いたマオの金色の瞳に、強くて暗い意志が灯る。
(今度は絶対に、逃がさないからね)
セーラの涙が尽きるまで、マオはセーラの肩を抱いて頭を撫でた。