再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
涙が落ち着いたセーラを再び抱っこしたマオは、姫抱っこ移動のまま聖女屋敷の扉をくぐる。すると整列した使用人たちが笑顔で声を揃えた。
「「「おかえりなさいませ、マオ様!」」」
マオが帰った喜びに沸き上がる気持ちがにじみ出た使用人たちの笑顔に迎えられて、セーラは身を固くした。
(わ、私が住んでた時はこんな大歓迎じゃなかったけど?!)
「デュオ。彼女が僕の聖女様だよ」
一歩前に出た赤茶色の短い髪を揺らした凛々しい顔つきの男性が、深々と頭を下げる。
「聖女様。使用人一同、召喚の日を心よりお待ちしておりました」
セーラもマオに抱っこされたまま小さく会釈した。
代表としてマオと会話をする彼が、この中で一番位が高いことがわかる。
(若いのに、一番偉いんだ)