再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
セーラがマオの襟首を両手で掴んで、マオの首をぐわんぐわん揺らして喚いたが、マオは未だににこにこ笑うだけだ。
「落ち着いて、セーラ。ビンビンの話を最後まで聞いて」
女性にぐわんぐわんされてニコニコ喜ぶ魔公爵を見慣れないビンビンだが、恐る恐る口を挟む。
「聖女様、人を石に変える魔王はマオ様ではありません」
「へ?!」
「マオ様は、曾祖母の代から『人助け魔公爵』と呼ばれるほど人間の明確な味方でいらっしゃいます」
「人助け魔公爵?!かっこいい……」
「でしょ?」
ビンビンの隣で静かに座っていたデュオがさっと資料を取り出して、ローテーブルの上に並べて今までのマオの功績を丁寧に説明し始める。
「これは国が大豪雨に襲われた際に、マオ様が天を割る魔法で雨を止ませてくださったときの資料です」
セーラは当時の新聞記事を読みこんで、マオの活躍を知った。
『かつて魔王と呼ばれた公爵、【人助け魔公爵】に、感謝と、心からの謝罪を』という見出しには、セーラの目に涙が滲んだ。