再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─

マオはセーラを抱えていても少しも重そうにすることなく、階段を下って行く。


(マオの精神魔法を、現代風に言い直すと。ガチ恋をオタク仕様のファン愛に変更的な?)


階段を一歩一歩下って行きながらも、マオの視線は進行方向でなく、セーラの黒い瞳に向いている。


「僕はセーラしか愛せない」


射抜かれるその熱い視線が、再び異世界に来てからずっと刺さっていた。


「セーラともう一度会うことだけを生きがいにしてきた男だよ」


熱くて燃えそうな視線に、セーラの胸がドクンと跳ねる。あんなに小さな男の子だったのに、今ではもうまるっきり大人で。金色の瞳が愁いに満ちて愛を語ると本気にしてしまいそうになる。


「彼女たちが僕に叶わない恋に身を滅ぼして苦しむより、憧れに徹して楽しい方が有意義でしょ?

それに他の男に気が移ったらこの魔法はすぐ消える。害はないよ。

僕って優しいと思うんだけど、セーラはどう思う?」

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