再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
「石人間のお家まではどのくらいかかるの?」
「馬車で1日ってところだよ」
「どうしてわざわざそんな不便なところに?王都の近くに作ればよかったのに」
石人間のお家を目指す道中、馬車の中でセーラが素朴な疑問を口にする。セーラの正面に座ったビンビンが瓶底眼鏡を持ち上げて説明した。
「水害に強い場所を選んだからです」
「水害?」
「ここ100年、雨量は増加の一途です。もし大洪水が起きた場合に石人間たちは逃げようがありません。
なので最初から洪水の危険が極めて低い場所に家を建設しました。場所の選定はマオ様が行いました」
セーラが隣にぴったりくっついて座るマオを見上げると、蕩けそうに優しくマオが笑う。
マオの向こう側に見える馬車の小窓の外では、しとしと雨が降っていた。