再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
「石人間たちが水に流れて壊れていたら、石化が解けたとしても意味ないからね」
「マオって色んなことを考えることができるのえらい!ほんとにマオは天才!」
セーラが心から手放しでマオを金色猫毛の頭を撫でくり回して猫かわいがりする。あまりに子どもにするような褒め方に、それはどうかとビンビンはごくりと息を飲んだ。
魔公爵のマオにそんな気安さで触れる人間を見たことがなかった。
「ありがとう、セーラ。嬉しい。大好き、もっとして」
(すごい喜んでおられる?!)
瓶底眼鏡がズリ落ちた。素直も素直に喜んで、頬までちょっと赤くしてしまうマオを、ビンビンは二度見、三度見した。
(マオ様ってこんな顔する人でした?)
ビンビンの微妙な気持ちが飛び交う馬車の中での短い旅を終え、ついに石人間のお家に辿りついた。
セーラは石人間の家を眺めて息を飲んだ。
「これが石人間の家。なんかこう、物々しいね」