再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
「どうしようぉおお!!」
「ビンビン、一旦帰ろう」
取り乱すセーラを抱くマオは、セーラの様子を観察しつつビンビンに指示を出す。ビンビンもセーラの異常な様子に、聖女だけが感じ取れる何かがあったことを察した。
「そうしましょう。落ち着いてください、聖女様」
「落ち着けない!」
いまだ両目を両手で塞ぎつつ、光にくらんだセーラの頭がぐわんぐわん揺れた。
(これってこれって、
マオが石化魔王だったってこと?!)
マオの腕の中で急いで退却させられながら、セーラは今すぐマオの顔を捻ってやろうかと思った。
(全人口を着々と石にしてるのは、私が育てた魔王でしたってこと!どうしようどうしよう!うちの子、全国に向けてグレてたぁあ!)
国の人口の8割を石にして「グレた」と表現するセーラの心は広いものである。セーラは懐かしいマオの言葉を思い返す。
『僕、セーラのためなら世界を変えてみせるよ!』
(変えすぎだよ!魔王ジョークどころじゃないよ?!)
目がやられて開かないセーラに、マオの顔は見えなかった。
マオと出会って初めて、マオの顔を見るのがちょっと怖かった。