再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
聖女様、選択の時です
馬車に乗っても目は開かず、セーラは沈黙を続けた。療養を優先し、急いで聖女屋敷に舞い戻ることとなってしまった。
セーラの私室前の廊下で、マオはビンビンに指示を与えた。
「セーラには僕が話を聞くから、ビンビンはデュオにお茶の用意をさせて」
「はい、伝えます」
ビンビンが杖をついてすごすごとその場を離れた。マオがセーラの私室に静かに入る。
セーラは部屋に入ってきたマオを黒い瞳でまっすぐ射抜く。もう発光石人間の光で眩んだ目は治った。
「マオ、座りなさい」
凛々しく唇をきゅっと絞ったセーラの緊張した面持ちに、マオは胸が躍った。
(やっと、セーラに叱ってもらえる)