再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
セーラの泣きだしそうな顔に、マオは男の無骨な手で柔らかく触れた。
「私に会いたいのと、人を石にするのと、どう関係が?」
「セーラに会うための一番の近道だった。実際にこうやってセーラは帰ってきた。僕は何も間違ってなかったでしょ?」
「何言ってるの、マオ。人を傷つけないって約束したのに」
セーラの黒い艶やかな瞳から、綺麗な雫が一粒滑り落ちた。その一粒が宝石より美しくて、マオの心を疼かせる。彼女の純粋な涙は何度浴びてもキモチイい。
「僕がセーラとの約束を破るなんて、ありえない」
当然だと笑うマオにセーラが反論しようとすると、部屋にノックが響いて義息子のデュオが丁寧に入室した。
セーラはさすがにマオが石化魔王だとバレるのはマズいと感じて、キュっと口を引き絞る。
(グレてヤンチャした思春期の子の悪事を言い広める保護者なんていない!
これは必要な沈黙!!)