静穏総長も、時には激しく愛したい

パシッ



「やぁ、病院で会った以来だね」

「げ……」



必死に伸ばした俺の手。

それを掴んだのは、なんと病院で入院中のはずの、真っ白い存在。


名前は、確か……



「純白純弥、さん……?」



そう、確か。そんな名前……って。

あれ?

いま、澪音が名前を呼んだ?



驚いて声のした方を見ると、歩いていた澪音は立ち止まり――俺ではなく、純白純弥を見ていた。

その顔は、さっきよりも悲しそうだ。

というのに、この男は「やぁ」と。俺にした時と同じように、澪音に手を上げて挨拶をした。



「澪音ちゃん。数ある中から、俺を選んでくれてありがとう。まさか本番を前に、もう一度きみに会えるなんて思わなかったよ」

「わ、私こそ……っ」

「って、ここでする話じゃないか。澪音ちゃんさえ良ければ、どう? この後お茶でも」
< 101 / 315 >

この作品をシェア

pagetop