静穏総長も、時には激しく愛したい
パシッ
「やぁ、病院で会った以来だね」
「げ……」
必死に伸ばした俺の手。
それを掴んだのは、なんと病院で入院中のはずの、真っ白い存在。
名前は、確か……
「純白純弥、さん……?」
そう、確か。そんな名前……って。
あれ?
いま、澪音が名前を呼んだ?
驚いて声のした方を見ると、歩いていた澪音は立ち止まり――俺ではなく、純白純弥を見ていた。
その顔は、さっきよりも悲しそうだ。
というのに、この男は「やぁ」と。俺にした時と同じように、澪音に手を上げて挨拶をした。
「澪音ちゃん。数ある中から、俺を選んでくれてありがとう。まさか本番を前に、もう一度きみに会えるなんて思わなかったよ」
「わ、私こそ……っ」
「って、ここでする話じゃないか。澪音ちゃんさえ良ければ、どう? この後お茶でも」