静穏総長も、時には激しく愛したい
「……はい」



ポンポンッ


澪音の頭をゆるく撫でた純白は、俺をチラリと見る。反対に澪音は、俺と目を合わせようとしない。


なに?
何が、どうなってるの……。


とりあえず澪音と話を――と思っていると、俺の腕が再び握られる。


ギュッ


握ったのは、純白。



「君は、俺と話そうね♪」

「……誰が、」



と思ったけど。

澪音は一度だけ俺を見た後、もう振り返ることはなかった。”すみ”と一緒に、帰ったらしい。

前の澪音なら、俺を避けるなんてありえない。やっぱり澪音は……何か隠している。



「あんたなら、何か知ってるの」

「もちろん。なんたって、当事者ですから♪」



「ふふ」と笑う顔が、気に食わない。切羽詰まった俺と、正反対の顔をしている。

だけど、今の澪音から情報を聞き出すことは難しい……というか不可能だ。

あの状態の澪音に「何があったか」なんて聞いても、正直に話してくれる気がしない。


なら……悔しいが、この男から話を聞くしかない。
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