静穏総長も、時には激しく愛したい

「最強ランキング一位と言い、三位といい……腑抜けた奴ばかりめ」



まるで舌打ちする勢いで、乱暴に言い放った純白は、踵を返して去って行く。

俺は、その後ろ姿を呼び止めることなく、ただ見ているだけ。

すると純白の顔が、わずかに俺に向いた。


クルッ



「君の優しさってさ、君のためには使われないワケ?」

「え……?」

「…………まぁ、いいか。澪音ちゃんの事を諦めるっていうなら、任せてよ。

誰が澪音ちゃんを狙っても、元総長の俺なら拳一つで追い返す自信があるしね」



それだけ言って、純白は消えた。

謎の言葉を、残したまま。



――君の優しさってさ、君のためには使われないワケ?



「俺のために使うって、なんだよ……」



それが何を意味するのか分からず、頭を抱える。

だけど、そんな俺のそばに「いたいた!」と息を切らせた睦がやって来た。
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