静穏総長も、時には激しく愛したい

ふくちゃん、そうなんだよ。


私、頭では分かってるのに、まだ心が奏さんを求めてる。

だからね、今、必死に折り合いをつけてるところなの。「好き」を諦めるために。


だから――



「どれだけ頑張っても諦めきれなかったのは……最後に、挨拶をしてなかったからだったんですね」

「……」

「奏さん、隣……座っていいですか?」

「……ん、いいよ。ここは人が来ないしね」



すると奏さんは、自分の隣をポンポンと叩く。

その手が、なんだか力なく見えて……。


そう言えば、なんだか元気ない。
どこか調子わるいのかな?


だけど、聞ける雰囲気じゃない。この場には既に、ピリピリ張りつめた空気が漂っている。

だから「調子悪いですか?」と聞く事はせず。もう一人ぶん入れそうな隙間を作り、奏さんと並んで座った。


そして――

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