静穏総長も、時には激しく愛したい
「!」



あぁ、奏さん。ズルい、ズルすぎる。

どうして、そんなこと言っちゃうの。

どうして今、胸が高鳴るようなことを言っちゃうの?



「か、奏さんなわけ……ないじゃ、ないですか。私の結婚相手は、年上で、カッコよくて、背が高くて……すごく素敵な方です」



なんとか涙をこらえて、反論する。

だけど――



「澪音の中で”それ”は”俺”じゃないの?」

「へ……?」

「俺も澪音より年上だし、よくカッコイイって言われる。背も高い。

総合的に、充分ステキだと思うけど?」

「!」



だ、から……!

なんで、そんな事を言うの!


まるで、純弥さんと張り合うみたいに。まるで、私の好きな人は自分以外ありえないって、そう言ってるみたいに。



「ずるい……」



ねぇ奏さん。

どうして、簡単に諦めさせてくれないんですか?



「自意識過剰……ですよ。私の好きな人は……奏さんじゃ、ありません」

「本心?」
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