静穏総長も、時には激しく愛したい
「ってか白いの。いいのかよ、美月は」
「へ? なんか言った?」
「……いや」
プイと、そっぽを向く春風さん。そんな春風さんを見て、純弥さんは微笑み返すだけ。
なんだろう、この「特別な空気」は。
まるで二人にしか分からない「何か」が、あるみたいな……。
というか「美月」って誰なんだろう?
その人の名前が出てから、二人の空気がガラリと変わったような――
「あ、美月ちゃんって言うのはね、コイツの彼女だよ」
「へ?」
「おい……」
私の心が読めるのですか、純弥さん!
ドンピシャな話をふられて、思わず背中がのびた。だけど反対に、純弥さんは……クネクネしてる。
「もー、ちょう可愛いんだよ~! 俺と美月は幼なじみでね、目の中に入れても痛くないんだ~♪」
「へぇ、そうだったんですねっ」
「……」
美月さんって、純弥さんの幼なじみだったんだ。
純弥さんの事を何も知らなかったから、そういう事が聞けて、なんだか嬉しいかも。