静穏総長も、時には激しく愛したい

すると純弥さんは、ヘビみたいな動きをピタリと止める。ジト目で春風さんを見ながら。



「幼なじみって言っても、俺と美月が会えない時間は長くてさぁ。そしたら、その間にコイツが美月の彼氏になったってわけ。

もーヒドイよね! 俺の大事な幼なじみを、こんな得体の知れない奴にさぁ!

っていう事情があって、昔からコイツとは、ずっと仲が悪いんだよ♪」

「そ、そうなんですね……」



二人の間に、そんな過去があったなんて。

あれ? でも仲が悪いのに、どうして一緒にいるんだろう? ケンカするほど仲が良いって事なのかな?



「白いのの昔話を聞いても、面白くないだろ」

「春風さん……いえ、そんな事ないですよ」



だって、幼なじみの美月さんを妹のように可愛がる――そんな純弥さんの優しい一面を、知ることができたから。



「いずれ夫婦になるわけですし……過去の純弥さんを知れて嬉しいです」

「お前……」



春風さんが、眉間にシワを寄せた。その目には、少し切ない色が浮かんでいる。

あぁさすが、類は友を呼ぶ、だ。

純弥さんも優しいけど、会ったばかりの春風さんも、とっても優しい人。
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