静穏総長も、時には激しく愛したい
「(不良よりも不良っぽくない奏さんが、まさかそんな肩書きを持っていたなんて……!)」
だけど、思い出す。
さっき奏さんが、ナイフを持った不良を「秒で倒して」いた事を。
髪の一本も乱れず、制服にシワ一つ付けず、ケンカを終わらせていたことに。
「奏さん、あなた……」
えげつない現実を前に、頭がついていかない……というのに。奏さんは穏やかなもので。静かに、こう零した。
「3位 “候補” だから」
「いや、そういう事じゃないと思います……!」
高校に入って、初めて私が好きになった人。その人は、どうやら暴走族で。
そして、どうやら――
最強と謳われる人達の中で、三番目に強いらしかった。