静穏総長も、時には激しく愛したい

「校門を左に出て、すぐのところ……」

『そこから動かないでくださいよ!?』



ブツッ


動かないでくださいよ、と言われても。

会ったら説教が待っているのだから、一秒でも早く逃げたいに決まってる。



「純弥さん、そろそろ澄が来るみたいなので……私は、これで」

「ふふ。逃げるなら、学校の方にね」

「え? でも、それじゃあ澄につかまっちゃう……」

「いいからいいから~」



そう言って、純弥さんは私の体の向きを変えた。

そして、なでなでと。頭を優しく撫でる。



「大事な婚約者に、何かあっちゃダメだから。澄くんと合流して、きちんと家に帰ること」

「えぇ……」

「最近は物騒だからね。俺が送ってもいいんだけど、そうすると澄くんからスゴイ睨まれるからさ。我慢するよ」



そう言って、私からパッと手を離す純弥さん。

澄に会うのはイヤだけど……でも前も、一人でいた時に不良に絡まれたし……。ここは、素直に従っておくべきだよね。
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