静穏総長も、時には激しく愛したい

「何が”美月は幼なじみ”だ。

昔から好きで好きで諦められない、片思いの相手だろうが」

「……それを美月ちゃんの彼氏であるお前が言うことじゃないと、俺は思うんだけどね」



呆れた顔で、ため息をつく純弥さん。

ポケットの中に手を伸ばすと、私にくれたのと同じ飴を掴む。取り出すと、ハートは袋の中で少し欠けていた。



「さっきの澪音って子、千秋の事が好きなんだな」

「人の色恋には、よく気がつくね~」

「茶化すな。白いのにとっても澪音にとっても、お互いが望んでない結婚なんだろ。そんなの、するだけ無意味だ」

「無意味、か。言ってくれるねぇ」



純弥さんは、その場に膝を曲げて座る。そして欠けた飴を、袋から取り出した。



「それが政略結婚ってもんだよ。それに痛みを知るもの同士、俺と澪音ちゃん、仲良くなれそうじゃない?」

「だから、茶化すな」
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