静穏総長も、時には激しく愛したい
「白いのは、俺の知らない”昔の美月”を独り占めしてる。俺はどうしたって、過去の美月には会えないんだ」
「お前……」
純弥さんは、曲げていた膝を伸ばし、立ちあがる。
そして春風さんと向かい合う……のだけど……。
「だから、今の美月は俺がもらう。手出しするなよ、白いの」
「ねぇ、良い空気が台無し。それに、なんか腑に落ちないの俺だけ?」
「なら地獄に落ちるか?」
「お前からね」
懲りずに、また二人は火花を散らす。
一触即発な雰囲気になった、まさにその時。
「純白様! お嬢様をお見掛けしませんでしたか⁉」
「へ? 澄くん?」
なんと、私が去った道を、澄が走って来た。