静穏総長も、時には激しく愛したい
「一人で帰ろうとしてたから危ないと思って、さっき学校へ戻したんだけど……会わなかった?」
「会いませんでした! 携帯も繋がりません!」
「!」
「……夜野、俺だ」
澄の言葉を聞いた途端、春風さんはスマホを出して電話をかける。
すると通話相手の「夜野」という人は、電話越しでなく、春風さんのすぐそばで「なに」と。直接、返事をした。
一同が、声をした方を振り向くと……立っていたのは、夜野という人と、なんと奏さん。
純弥さんは「なんで二人が一緒に?」と不思議がった。
だけど、
「さっきの話、本当?」
澄と純弥さんが話していた内容を、奏さんはどうやら聞いていたらしい。
目を見開いて、この場にいる全員を見た。
「お嬢様は、」
気が気でない澄が、答えようと一番に口を開く。
でも――