静穏総長も、時には激しく愛したい



「もし、さっきの話が本当だったらさ」



澄の前にズイと体を出し、奏さんと向かい合う純弥さん。

音がしそうなほど強く握り締められた奏さんの拳を見て、問いかけた。



「澪音ちゃんが何者かに攫われたとしたら、君は一体、どうするつもり?」

「!」



その声は「中途半端に助けるな」という、まるで牽制のようで。

ついさっき「可愛い後輩」と言った純弥さんの面影は、まるでない。



「未来の俺の奥さんだからさ。

澪音ちゃんに近づいたり突き放したり。君の気分で彼女が傷つけられるのを、黙って見てるわけにはいかないよ」

「――……俺は、」



奏さんが、何かを言おうとした。
ちょうど、その時。

奏さんのスマホがピコンと反応する。すると奏さん自身も、その音に即座に反応した。


そして――


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