静穏総長も、時には激しく愛したい
本当に大事なもの
ドンッ、と体に衝撃が加わった時。
感じたのは少しの痛みと、背筋が凍りつくほどの冷や汗。
「ここ、どこ……?」
薄暗い景色の中に、チラチラと夕日がさしている。
どこか建物の中?
それか……廃墟?
妙なホコリっぽさが喉を刺激され、「ケホ」と咳が出る。
その時だった。
「へ~。こんな女が”お嬢様”なんてな」
「!」
振り返ると、男の人がいた。
その後ろには、パッと見ただけでも三十人くらい不良たちがいて……。
「ひっ……!」
思わず、悲鳴が出た。