静穏総長も、時には激しく愛したい
「ハッ。春風と話すぐらいだから、どんな女かと思いきや……。
こんなヘーボンな嬢ちゃんが、なんでまだ暴走族なんかと仲良くしてるんだ?」
「春風、さん……?」
繰り返すと、男の人は「そーだよ」と。忌々しそうに顔を歪めた。
「せっかく俺が偽物の【月光】を作ったってのに、アッサリ解体しやがって。それに俺の悪事を警察に話して、捕まったらお縄の身だ? ったく、冗談じゃねーよなぁ……
なぁ!?」
ガンッ
男は近くにあったパイプ椅子を蹴り、すごい勢いでフッ飛ばした。
なに、この人。初対面だよね?
なんで私にキレてるの……⁉
「わ、私は……どうして、ここに……?」
「春風には貸しがあんだ。
借りた恩は返さなきゃ、だろ?
俺の人生を狂わせた春風に恩返しするため、春風に近づいた女を片っ端から食ってんだよ」