静穏総長も、時には激しく愛したい
「世間知らずの嬢ちゃんだと思ってたけど、肝が据わってる。面白えなぁ。
よし、せっかくだから自己紹介だ。
俺は夕暮 嵐太(ゆうぐれ あらた)。好きな物は、気が強い女。そして嫌いな物は、
――正義だ」
「!」
夕暮という人は、無駄に大きな服を着ていて、髪の毛は黒と金のマーブル色。顔には人差し指ほどの傷跡があって、それが余計に恐怖心を煽った。
だけど――「怖い」。
そう思った時には、既に遅くて。
ダンッ
気付けば夕暮は私を押し倒し、首に手をかけていた。
「久しぶりに胸糞悪い気分になったわ。
誰が”正しい”だって? あぁ!?」
「う……っ!」
大きな手は、瞬時に私の首を呑み込み……徐々に圧をかけていく。
「か、ぁ……っ」
だんだん気道が、細くなるのが分かる。風船がしぼむように、肺の中の酸素が減っている。呼吸がしずらい。