静穏総長も、時には激しく愛したい

――千秋先輩に彼女が出来たらしいよ!
――スッゴイ美人なんだって~!
――でも彼女が病弱で、奏さんが必死に介抱してるんだって



確か、あの噂が流れた後。

奏さんの、私に対する態度はおかしくなった。



私を避けるようになり、一緒に帰る約束も、一度も果たされなかった。

二人きりになると言えば、人目のつかない路地裏や、カーテンのされた教室。

そして滅多に人がこない、校内にあるベンチ。



「え、ちょ……ちょっと待って、」


まさか――


「奏さん、私のことを守ってくれてたの……?」



自分が狙われてるって知ってたから、私を避けたの?

私を巻き込まないために?

私が襲われないように?



「それでも、あんな事を言ったのは、」



――痕が消える頃、また会いに来る。それまで、俺がこれを預かる



「それほど”私に会いたい”と思ってくれたから……っ?」

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